2020.1029
月刊AMJ(Agricultural Marketing Jornal)
の10月号にコラムを掲載していただきました。
こちらの雑誌は、農業関係者の方に広く読まれている
業界誌です。
10月号はこれからの消費の在り方について考えてみました。
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月刊AMJ10月号寄稿 「ロスゼロチャレンジ」
食品ロスとエシカル消費
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2019年10月1日、食品ロス削減推進法が施行されました。
それに伴い10月が「食品ロス削減月間」、
10月30日が「食品ロス削減の日」に制定されています。
食品ロス削減は官民一体で取り組むべき国民運動として位置付けられており、今後の大きな進展が期待されています。
みなさんも削減月間に向けた日本各地の取り組みをメディアで見聞きするのではないかと思います。
弊社の食品ロス削減事業「ロスゼロ」では、各企業や団体から食品ロス削減月間に向けたイベントのお話をいただいています。
たとえば、スポーツイベントの参加者へのプレゼントにロスゼロの食品が使われるほか、
百貨店での2週間に亘るロスゼロのポップアップストアの展開、
その他ハロウィーンイベントで子どもにプレゼントするお菓子にロスゼロのものが使われる、などです。
10月の活動の幅が昨年より広がりました。
特に百貨店が食品ロス削減に積極的に取り組むことは、ある意味で
「日本社会に新しい消費のあり方を提案する」証なのではないか、
と強く感じています。
この場合の新しい消費のあり方とは
「エシカル消費」と言われています。この数年、日本でもエシカル消費が注目され始めているのをご存知でしょうか。
エシカルとは、直訳すると「倫理的な、道徳的な」という意味です。
私たちが本来持ち合わせている良心から生まれる社会的規範であり、環境や人、社会、地域に配慮した考え方を指します。
つまりエシカル消費とは、私たちが日ごろ何気なく買い物をしたり消費する際に、社会に変化を及ぼすことができる方法を選ぶことです。
例で言うと、地産地消を応援する、
フェアトレード商品を買う、
リサイクルやアップサイクル(※)商品を買う、
食品ロスであれば、規格外食品や賞味期限が近づいたものを積極的に購入・消費してロスが出ないようにすることです。
(※)アップサイクル…元々の形状や特徴を活かしつつ新しい商品にアップグレードして生まれ変わらせること。
私たちは毎日、消費のために大切なお金の使い道を判断しています。
多くの人が視点を少し変えて消費活動を行うだけで、大きな力となって社会は変わっていきます。
「このままでは食品ロスになってしまう食品」を積極的に買うことは、
作り手の「作った限りは最後まで食べてほしい」という思いに応えることであり、また少しでも作り手が収益改善できるための応援消費にもなります。
コロナ禍によって、日本各地で食べ物が滞留し、多くの人が応援消費としてそれらの食べ物を積極的に購入しています。
「どのみち食品にお金を使うのなら、食品の作り手を応援できるような使い方をしたい」という気持ちから起こった消費のあり方が、まさにエシカル消費です。
2030年のSDGs達成に向けて、世界各地での取り組みに進展が見られています。
2030年の5年前となる2025年の関西・大阪万博は、日本が世界に向けて持続可能な社会実現の場としてアピールできるマイルストーンとなります。
しかし現状はどうでしょうか。17の目標のうち日本には進展どころか「後退」している目標があります。
後退が見られるのは、目標5番(ジェンダー平等)・目標10番(不平等をなくす)・目標13番(気候変動対策)・目標14番(海の豊かさ)です。
また「後退ではないが、達成に必要なペースの50%を下回っている」目標は、12番(生産と消費)など、幾つかあります。
この状況は万博開催国として望ましくないばかりか、何より日本の未来に向けて、より大きな規模の取組みを速やかに行っていかねばなりません。
上記に挙げた目標のうち、
12番(生産と消費)と13番(気候変動対策)の両者に関わる例が、まさに食品や衣類の廃棄です。
これらの課題解決を早急に進めるため、食品ロス削減が国民運動として位置付けられたのです。
12番は「作ったものはちゃんと使いきろう(食べ切ろう)、使う(食べる)分だけ適量を作ろう」という目標です。
先進国に多い社会問題であり、これまでの大量生産・大量消費・大量廃棄の生活が引き起こしたものです。
食品の廃棄には、多くの燃料が必要とされます。
これは、温室効果ガス発生の原因となります。
作るために使ったエネルギー、流通させたエネルギーを無駄にするだけでなく、廃棄にまたエネルギーを使う、という負の循環に陥ってしまいます。
環境に優しい食品ロス削減法はなんでしょうか。
私たち消費者が食品ロスになってしまう食品を進んで買うこと、そして最後まで美味しく食べきることです。
食品ロスの約45%は、家庭で発生しています。
消費者の行動は非常に大きな影響を持っていることが分かります。
消費者の行動変容は企業を動かし、企業が動けば、サスティナブルな社会の実現につながります。
これからもエシカル消費という言葉を目にすることが増えていくと思われます。
ぜひ注目してみてはいかがでしょうか。
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